築古の自宅のエアコンが老朽化してきたので、DIYで交換しました。エアコンの取り外し(ポンプダウン)から新機の設置、さらにコンセント位置の移設まで、一連の作業を記録します。
今回購入したのはAmazon.co.jp限定のコンフィー(COMFEE’)のエアコン(¥40,850)です。COMFEE’は中国の家電大手「美的集団(Midea Group)」が展開するブランドで、世界200以上の国と地域で製品を販売しています。Amazonでは設置工事も依頼でき、その場合は別途¥17,600がかかりますが、今回は全て自分で行いました。
エアコン工事は業者に依頼すると取り付けだけでも1万5千円〜2万円程度かかります。取り外しと処分もあわせると3万円を超えることも。今回は全て自分で行い、大幅に費用を抑えることができました。
古いエアコンの取り外し
まずは既存のエアコンを取り外します。エアコンの取り外しで最も重要な工程が「ポンプダウン」です。これは室外機のコンプレッサーを使って冷媒ガス(フロン)を室外機に回収する作業で、これを行わないと冷媒が大気に放出されてしまいます。


ポンプダウン(冷媒回収)
ポンプダウンを行うには、エアコンを強制冷房モードで運転する必要があります。リモコンの「試運転」ボタンを押すと強制冷房になります。通常の冷房モードでは外気温が低いと運転しない場合がありますが、試運転モードは温度に関係なく強制的にコンプレッサーを動かしてくれます。

室外機のカバーを外して、配管の接続部にアクセスします。

細管(送り側・高圧)と太管(受け側・低圧)のフクロナットを外します。

強制冷房を運転した状態で、細管側のバルブのスピンドルを六角レンチで時計回りに回して全閉します。これにより冷媒の送り出しを止め、室内機側の冷媒がコンプレッサーに回収されていきます。このまま強制冷房を約3分間継続します。

3分経過したら、太管側のバルブも全閉します。これで冷媒が室外機内に閉じ込められました。全閉したらすぐにリモコンで運転を停止します。

※ポンプダウンの時間が長すぎるとコンプレッサーに負荷がかかり故障の原因になります。短すぎると冷媒が完全に回収できません。2〜3分が目安です。
配管・電源の取り外し
ポンプダウンが完了したら、配管と電源を外していきます。まず電源コードを抜きます。

フレアナットを反時計回りに回して緩め、銅管を取り外します。少量のオイルが出ることがありますが、冷媒回収が正しくできていればガスが噴き出すことはありません。


室外機の電源コード接続部。マイナスドライバーで端子横のボタンを押しながら引き抜くと外れます。

室内機側の電源コードも外します。

室内機と室外機をつないでいる配管テープ(保護テープ)を外していきます。

室内機の下部を少し持ち上げると、壁穴付近の配管接合部が見えます。

モンキーレンチとスパナを使って、室内機側の配管を外します。二つのレンチで挟んで回すことで、銅管を傷めずに外すことができます。


室内機を据付板から取り外します。

壁に固定されている据付板を外します。

配管のフレア加工と接続
ここから新しいエアコンの設置です。今回はフレア加工の工具一式をヤフオクでレンタルしました。真空ポンプ(BBK製)、デジタル真空計(タスコ製)、フレアツール、トルクレンチなどがセットになっています。
銅管のカットとバリ取り
元の銅管を再利用します(自己責任で)。パイプカッターで必要な長さにカットします。少しずつ締め込みながら回すことで、断面がきれいに仕上がります。

細管・太管ともにカットできました。

カット後、バリ取りで銅管内側のバリを除去します。バリが残ると冷媒の流れに影響し、フレア面の密着不良の原因にもなります。銅管は下向きにして切り粉を落とします。

フレア加工
フレア加工の前に、フレアナットを銅管に先に通しておくのを忘れずに。これを忘れると最初からやり直しです。
フレアツール(クラッチ付き)で銅管の端部を広げます。適正な広がりになるとクラッチが作動して自動で空回りするので、締め込みすぎの心配がありません。

細管・太管ともフレア加工が完了しました。フレアサイズゲージで適切な大きさになっているか確認します。

室内機側の配管接続
フレア面にアサダのナイログ(冷媒漏えい抑制剤)を少量塗布します。これによりフレア接合部からの微細な漏れを防止できます。

室内機の接続口にフレア加工した銅管を合わせ、フレアナットを手で回して軽く締めます。斜めに入らないよう注意してください。


トルクレンチで規定トルクまで締め付けます。モンキーレンチで相手側を固定しながら締めることで、配管に回転力をかけずに済みます。2分管(細管)は14〜18 N・m、3分管(太管)は34〜42 N・mが規定トルクです。


室内機に電源コード(VVFケーブル)も接続します。

室内機の設置
今回のエアコンには据付用の型紙が付属していました。これを壁に貼って、据付板のビス穴やコア穴の位置を正確に決めることができます。

型紙に合わせて据付板をビスで固定します。壁の材質に合ったアンカーを使い、水平を確認しながら取り付けます。

配管を壁の穴から出しながら、室内機を据付板に引っ掛けます。

外から見ると、穴の下から銅管、ドレンホース、電線が出ています。

室外機の設置
新しい室外機を架台に固定します。ボルトでしっかり締めて、振動で動かないようにします。


室外機側の配管接続
室外機のカバーを外して接続口にアクセスします。

銅管の反対側を室外機の接続口の位置に合わせて、こちら側もフレア加工します。

室内機側と同様に、トルクレンチで規定トルクまで締め付けます。


配管接続が完了しました。

室外機に電線を接続します。

コンセント位置の移設
ここで問題が発覚しました。エアコンの電源コードの長さが足りず、コンセントに届きません。

エアコンに延長コードを使うのはNGです。エアコンは消費電力が大きいため、延長コードの接続部分が発熱し、最悪の場合は火災の原因になります。内線規程でもエアコンは専用コンセントからの直接接続が求められています。
コンセントの位置を移動させることにしました。まずは既存のコンセントを外して電線の状態を確認します。

電線には長さの余裕がなく、天井裏を回すのも難しそうでした。そこで、壁に穴を開けて電線を新しい位置まで通すことにしました。

元の穴の補修
元のコンセント穴は塞ぐ必要があります。穴の裏側に固定板を設置して、蓋を固定できるようにします。

穴と同じ大きさの板で蓋をします。今回は新設するコンセント用に開けた穴から切り出した壁材をそのまま使いました。

この家の壁は漆喰仕上げなので、蓋の上から漆喰を塗って仕上げます。

塗り終わりました。乾燥前は色が違うため目立ちますが、完全に乾けば周囲と馴染みます。

新しいコンセントの設置
移動させた電線の先に、新しいコンセントを取り付けます。エアコン用なので20A対応のコンセント(IL型)を使用します。


これでエアコンの電源コードが無事に届くようになりました。コンセントに差し込みます。

真空引き
配管の接続が完了したら、真空引きを行います。配管内の空気と水分を排出し、冷媒だけの状態にする重要な工程です。これを怠ると冷媒と水分が反応して酸が発生し、コンプレッサーの故障につながります。
レンタルしたBBK製の真空ポンプを使います。家庭用エアコンの取り付けには十分な性能です。

真空ポンプにホースとデジタル真空計(タスコ製)を接続します。デジタル真空計はガス圧がかかっても壊れないので安心です。

室外機のサービスポート(太管側)のナットを外します。

チャージバルブを取り付けます。

チャージバルブのツマミを反時計回りに回して開けます。これにより配管内と真空ポンプが接続され、空気を引き出せる状態になります。


真空ポンプのスイッチを入れます。

真空計の値が -0.1MPa 付近まで下がることを確認します。

このまま15分程度運転を続けます。家庭用エアコンの配管長なら15分で十分です。

真空ポンプを停止し、5分程度放置します。真空計の値が変化しなければ、配管に漏れがないことが確認できます。もし値が戻ってしまう場合はフレア接続のどこかから漏れているので、やり直しが必要です。

冷媒の開放
真空保持が確認できたら、チャージバルブのツマミを時計回りに回して閉め、ホースを外します。これにより外気が配管内に入ることを防ぎます。

六角レンチ(4mm)で室外機の細管側バルブを反時計回りに回して全開にします。

続いて太管側バルブも全開にします。これで冷媒が配管内に行き渡り、エアコンが使用可能になります。バルブキャップを締めて完了です。

配管の仕上げと試運転
配管に下から配管テープを巻いていきます。紫外線による劣化を防ぎ、見た目もスッキリします。


壁の穴はパテで埋めます。虫や雨水の侵入を防ぎます。

配管は結束バンドでベランダの柱に固定します。

今回使用した配管テープ、パテ、結束バンドはこちらです。
試運転
室内機のアース線をコンセントのアース端子に接続します。万が一の漏電時に感電を防ぐため、アース接続は必ず行ってください。説明書の指示に従い、直径1.6mmのアース線を用意しました。

反対側をコンセントのアース端子に接続します。

試運転スイッチを入れて動作確認します。冷風が出れば成功です。

古いエアコンの処分(家電リサイクル)
使わなくなったエアコンは、家電リサイクル法に基づいて適切に処分する必要があります。自分で指定引取場所に持ち込めば、収集運搬料金がかからず、リサイクル料金のみで済みます。
家電リサイクル券の手続き
郵便局に行き、家電リサイクル券を受け取ります。料金一覧表でメーカーとリサイクル料金を確認し、払込書に必要事項を記入します。

記入し終えたら、郵便局の窓口でリサイクル料金を支払います。料金一覧表で確認すると、コロナのエアコンは550円でした。

シールの貼り付けと持ち込み
家電リサイクル券に付いているシールを、エアコンの室外機・室内機それぞれに貼り付けます。

シールを貼ったら、指定引取場所に持ち込みます。

かかった費用
今回のエアコン交換でかかった費用をまとめます。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| エアコン本体(COMFEE’) | ¥40,850 |
| 真空ポンプ工具セット(ヤフオクレンタル) | ¥3,030 |
| レンタル品返送料 | ¥1,420 |
| 結束バンド | ¥458 |
| 配管用パテ | ¥88 |
| アース線(直径1.6mm) | ¥435 |
| 家電リサイクル料金 | ¥550 |
| 合計 | ¥46,831 |
Amazonで設置工事を依頼すると¥17,600、さらに取り外し・処分も依頼すればプラス1万円以上かかります。今回は工具レンタルと消耗品だけで済んだので、約2万円の節約になりました。
まとめ
エアコンのDIY交換は、ポンプダウンの手順さえ理解していれば難しい作業ではありません。今回はコンセント位置の移設という想定外の作業が発生しましたが、結果的に配線もスッキリして満足しています。
DIYで注意すべきポイントをまとめます:
- ポンプダウンは必須:冷媒(フロン)を適切に回収しないと法律違反になります
- 真空引きも必須:配管内の空気と水分を排出しないとコンプレッサー故障の原因になります。工具はレンタルで十分です
- エアコンに延長コードは厳禁:火災リスクがあります。コードが届かない場合はコンセント位置を移動しましょう
- フレア加工は丁寧に:銅管の接続部は正確なフレア加工が必要です。フレアサイズゲージで確認しましょう
- トルクレンチを使う:フレアナットは規定トルクで締め付けます。締めすぎても緩くてもガス漏れの原因になります
- 電気工事士の資格:コンセントの移設や新設は電気工事にあたるため、電気工事士の資格が必要です

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